日本バラッド協会第8回会合発表概要

協会通信100号記念企画「みんなで語ろう わたしとバラッド」

「バラード、いやバラッドです。」(小路 滋)

《要 旨》
 このタイトルは友人や知人と話しているときに話題がたまたま“バラッド”に及ぶと、少なからず「わたしもバラードが大好きなんですよ」という同意(?)の言葉をいただくことがあり、そのときに自分が返す台詞に由来するものです。と言うのも、私は両者がそれぞれ楽曲形式と物語詩という別の意味(定義)を持つものだと思っていたからです。

bsj shouji


 今回発表の場をいただいたのを機に、ウェブ上のリソース(複数)からバラッドという言葉の意味について調べてみたところ、その語源は中世に遡ることができ英語、仏語、独語など言語によって発音だけが異なるのだということがわかりました。
 さらに“バラッド”の本来の定義を確認すべく図書館に行き、本協会の山中光義先生の訳書をはじめ幾つかの関連書籍から、バラッドとは文字によらない口承の歌物語でその構成に一定の形式が見られること、主にヨーロッパに起源を持つものであるということを学びました。
 日本語のバラッドとバラードを紛らわしくしている要因として、日本ではポピュラー音楽のジャンルで、ゆったりしたテンポの感傷的な歌をバラードと称することがあり、両者は混同されているフシがあるという記述も見られました。
 以上、前半はタイトルに関わる話をさせていただきました。

参照:バラッド詩集 イングランド スコットランド民衆の歌 藪下卓郎・山中光義訳 音羽書房
   英国物語詩14撰 伝承バラッドからオーデンまで 中島久代+宮原牧子+山中光義 編著 松柏社
   歌うメディア バラーデの世界 高橋吉文編 北海道大学
   [以下はウェブ掲載分]
   デジタル大辞泉
   世界大百科事典 第2版
   大辞林 第三版

 後半は私の個人的な音楽聴取歴についてです。動画やスチル写真を並べただけのいたってまとまりのないものですが、自分にとっては子供の頃から聴いてきたさまざまな音楽(の一部)をトレースすることができて準備しながらとても楽しい思い出が蘇りました。
 画像の掲載は省略しますが、当日のプレゼンで披露した音楽のリスト(抜粋)を示します。

音源:”紅子のバラード” アイ・ジョージ  
   “お富さん” 春日八郎
   “元寇” 東京混声合唱団 
   “Puff” by Peter, Paul & Mary
   “I Wanna Hold Your Hand” by The Beatles
   Morris Dance at Whitby, UK August 24, 2009 (self recording)
   Morris Dance at Cotswolds, UK May 31, 2010 (self recording)
   Concertina Workshop by Alistair Anderson at Whitby, UK August 25, 2009 (self recording)
   Fiddle Lesson by Pete Cooper, on his website
   Martin Carthy and Dave Swarbrick at Moseley, UK September 6, 2009 (self recording)
   Steeleye Span at Oxford, UK November 29, 2009
   “Meet Me On The Corner” by Lindisfarne  
   “Scarborough Fair” by Simon and Garfunkel
   “Pentangling” by Pentangle at Royal Festival Hall, UK August 1, 2011
   “Light Flight” by Pentangle at Royal Festival Hall, UK August 1, 2011